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手紙営業で成果を出す!始める前に必ず行うべき3つの準備と実践ガイド

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TEXT BY レタリーマガジン編集部

企業の新規開拓戦略において、他とは一線を画すアプローチとして注目を集める手紙施策。デジタルコミュニケーションが主流となった現代において、手書きの温もりや上質な紙の質感は、受け取った相手に特別な印象を与え、その後の関係構築においてアドバンテージをもたらします。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、表層的な理解だけでなく、綿密な準備と戦略的な実行が不可欠です。

本稿では、手紙営業を始める前に、企業の担当者が深く掘り下げて検討すべき3つの重要な準備段階と、その後のスムーズな運用、そして成果へと繋げるための実践ステップを、具体的な事例を交えながら詳細に解説します。

1. 【費用対効果の徹底検証】手紙施策開始前の全体コスト詳細算出と最適化

手紙施策の導入を検討するにあたり、まず避けて通れないのがコストの問題です。「手紙は費用がかかる」というイメージが先行しがちですが、重要なのはその費用対効果を他の新規顧客獲得施策と比較し、総合的に判断することです。そのためには、現状の営業戦略における全体コストを詳細に算出し、どの施策がどれだけの成果を上げているのかを「見える化」することが最初の重要なステップとなります。

定量分析】現状の顧客獲得コストを徹底的に洗い出す

まずは、現在実施している主要な新規開拓施策にかかっているコストを、可能な限り細かく洗い出します。

  • Webマーケティング:
    • 広告費用: リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告などの費用対効果(クリック単価、コンバージョン率など)
    • SEO対策費用: コンテンツ制作費、ツール利用料、外部委託費など
    • コンテンツマーケティング費用: ブログ記事、ホワイトペーパー、動画などの制作費、配信費用
  • 展示会・イベント:
    • 出展費用: ブース費用、装飾費用、人件費、交通費、宿泊費
    • リード獲得数と質: 獲得したリード数、商談化率、受注率
  • アウトバウンドセールス:
    • テレアポ: 電話代、リスト購入費、営業担当者の人件費(架電時間、アポイント獲得数)
    • DM(ダイレクトメール): 印刷費、郵送費、リスト購入費、反響率
  • 紹介・リファラル:
    • インセンティブ費用: 紹介者への報酬など
  • その他:
    • 営業ツール利用料: SFA、CRMなどの費用
    • 営業担当者の人件費: 新規開拓に費やしている時間と割合

これらのコストを算出し、各施策からどれだけのアポイントメント、商談、そして最終的な受注に繋がっているのかを分析します。これにより、1アポイント獲得単価」や「顧客獲得単価(CAC)」を明確にすることができます。

【定性成果】手紙施策の費用構造と期待される効果

手紙施策の場合、主なコストとしては以下のものが挙げられます。

  • 手紙の制作費: 用紙代(高級和紙など)、印刷代、デザイン費(必要な場合)
  • 郵送費: 切手代、書留料金など
  • 封入・封緘作業費: 内製化する場合の人件費、外注する場合の委託費
  • リスト作成・管理費: ターゲットリストの作成、精査、管理にかかる費用
  • 営業担当者の時間: 手紙の企画、作成、送付、効果測定、フォローアップにかかる時間

これらのコストは、DMなどの大量送付型の施策と比較すると、一件あたり高くなる傾向があります。しかし、その分、以下のような効果が期待できます。

  • 高い開封率と閲読率: デジタルメールに埋もれることなく、決裁者の目に触れやすい。
  • 強い印象と記憶への定着: 手触り感や特別感のある手紙は、相手の記憶に長く残る。
  • パーソナライズによる関係構築: 一社一社に合わせたメッセージは、相手に「自分ごと」として捉えてもらいやすい。
  • 競合との差別化: デジタル一辺倒の営業活動が多い中で、アナログな手法は際立つ。

これらの定性的な効果も考慮に入れ、手紙施策が自社のターゲット層に対して、他の施策よりも高いエンゲージメント信頼感を獲得できる可能性があるのかどうかを見極めることが重要です。

【データに基づいた判断】営業施策のコスト最適化

現状のコスト構造と手紙施策の可能性を比較検討した結果、もし手紙施策が有望であると判断されたならば、まずは限定的な範囲でテスト的に実施し、その効果を測定することをお勧めします。初期投資を抑えつつ、実際の反応を見ることで、本格導入の判断材料とすることができます。

2. 【狙うべき顧客像を鮮明に描く】ターゲット層の精密な定義擦り合わせ

手紙施策は、その特性上、誰にでも送れば効果が出るというものではありません。むしろ、ターゲットを明確に絞り込み、そのターゲットに最適化されたメッセージを送ることで、初めてその真価を発揮します。自社が「投資をしてでも獲得したい」と考える理想の顧客像を具体的に描き出すことが、手紙営業を成功させるための重要なステップとなります。

【ターゲット顧客のプロファイリング】自社のビジネスゴールから逆算

まず、自社のビジネスゴールを再確認します。どのような顧客を獲得することが、売上向上、利益率向上、市場シェア拡大などの目標達成に最も貢献するのかを明確にします。その上で、以下のような項目に基づいて、理想の顧客像(ターゲットペルソナ)を詳細にプロファイリングします。

  • 企業の属性: 業種、従業員規模、売上高、設立年、地域、組織体制(決裁者の役職、人数など)
  • 抱えている課題・ニーズ: 自社の製品やサービスが解決できる可能性のある課題、潜在的なニーズ
  • 情報収集チャネル: どのような情報源から情報を得ているか(業界誌、Webサイト、展示会、セミナーなど)
  • 購買プロセス: 意思決定に関わる人物、情報収集から契約までの期間、重視するポイント(価格、品質、実績、信頼性など)
  • 自社との接点: 過去に接点があるか、どのような接点があったか

【戦略的ターゲティングの重要性】「絶対に獲得したい顧客」の特定:

手紙施策は、郵送コストや作成にかかる手間を考慮すると、決して安価な施策ではありません。そのため、費用対効果を最大化するためには、「無駄にしてでも取得したい」と考える戦略的な顧客層に焦点を当てるべきです。

  • 大手企業: 一度の契約金額が大きく、長期的な取引が見込める、業界への影響力が大きいなどの理由から、多少のコストをかけてでもアプローチする価値がある。
  • 事例協力企業: 自社の製品やサービスの導入事例として公開することで、高い宣伝効果や信頼性向上に繋がる可能性がある。
  • キーパーソン: 業界のオピニオンリーダーや意思決定に大きな影響力を持つ人物にアプローチすることで、間接的な効果も期待できる。

これらの顧客層に対して、パーソナライズされた手紙を送ることで、他の営業手法では難しい深い関係性を構築し、商談へと繋げる可能性が高まります。逆に、それ以外の顧客層に対しては、より効率的なコールドコールやメールマーケティングなどを検討する方が合理的かもしれません。

【データに基づいた客観的な判断】ターゲット選定における注意点

ターゲット層を選定する際には、担当者の主観や過去の経験だけでなく、可能な限りデータに基づいた客観的な判断を心がけましょう。既存顧客の分析データや市場調査データなどを活用し、本当にアプローチすべき顧客層を見極めることが重要です。

3. 【運用を最適化する設計】手紙施策開始前の緻密な導線設計とSFA連携

手紙施策を成功させるためには、質の高い手紙を作成し、適切なターゲットに送付するだけでは不十分です。その後のフォローアップや効果測定、そして組織全体での情報共有を円滑に行うための導線設計が非常に重要となります。

手紙施策のプロセス全体を設計する:誰が、いつ、何を、どのように

手紙施策を開始する前に、以下の項目について具体的なプロセスと担当者を明確に定義します。

  • ターゲットリストの作成・管理: 誰がどのような基準でターゲットリストを作成し、どのように管理・更新していくのか。
  • 手紙の企画・作成: 誰が手紙のコンセプトを企画し、文章を作成するのか。テンプレートを活用するのか、フルカスタマイズするのか。
  • 手紙の印刷・封入・送付: 誰が印刷、封入、宛名書き、郵送手続きを行うのか。外部委託するのか、内製化するのか。
  • 送付記録の管理: いつ、誰に、どのような手紙を送ったのかを記録する方法(SFAへの登録など)。
  • 効果測定: どのような指標(開封確認、問い合わせ数、アポイント獲得数など)で効果を測定し、誰がその分析を行うのか。
  • フォローアップ: 手紙を送付後、誰が、いつ、どのような方法でフォローアップを行うのか(電話、メール、訪問など)。
  • SFAへの登録・連携: 手紙の送付履歴、開封状況、顧客とのやり取りなどの情報をどのようにSFAに登録し、他の営業活動と連携させるのか。

SFA(営業支援システム)との連携:情報の一元管理と効率化

手紙施策で得られた情報をSFAと連携させることは、その効果を最大化し、組織全体の営業効率を高める上で不可欠です。

  • 顧客情報の統合: 手紙を送付した顧客の基本情報や過去の接触履歴などをSFAで一元管理することで、よりパーソナライズされたフォローアップが可能になります。
  • 進捗状況の可視化: 手紙の送付状況やフォローアップの進捗状況をSFAで共有することで、チーム全体での情報共有がスムーズになり、連携が強化されます。
  • 効果測定の効率化: SFAに登録されたデータを活用することで、手紙施策の効果を効率的に測定・分析することができます。
  • データ分析と改善: SFAに蓄積されたデータを分析することで、成功した手紙のパターンや効果的なフォローアップ方法などを特定し、施策の改善に繋げることができます。

運用開始後のPDCAサイクル:継続的な改善への取り組み

導線設計は、一度行ったら終わりではありません。実際に手紙施策を運用していく中で、課題や改善点が見えてくるはずです。定期的に効果測定の結果を分析し、PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Action)を回しながら、施策を継続的に改善していくことが、手紙営業で成果を出し続けるための重要な要素となります。

まとめ:緻密な準備と戦略的実行が手紙営業を成功に導く

手紙施策は、デジタル化された現代において、顧客との深い繋がりを築き、新規開拓を成功させるための強力なツールとなり得ます。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、事前の徹底的な準備、明確なターゲット設定、そしてスムーズな運用を可能にする導線設計が不可欠です。

そのために必要なことは、Lettery(レタリー)のような手紙SaaSなどのサービスや手紙施策の相談相手の存在と言えるのではないでしょうか。弊社では、上記のような相談から乗らせていただくことが多いです。ぜひこれから手紙施策を開始されようとされている人、まさに実行している人など、ぜひご相談くださいませ。

次の章では、手紙施策においてよく起きがちな失敗談を紹介していきます。

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